整形外科と災害外科
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陰圧閉鎖療法が有用であった乳癌放射線治療後の鎖骨骨髄炎の一例
田上 裕教佐藤 広生薬師寺 俊剛岡 潔今村 悠哉水田 博志
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2012 年 61 巻 2 号 p. 234-238

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抄録

乳癌放射線治療後の鎖骨骨髄炎に対し陰圧閉鎖療法(VAC療法)を行い良好な結果を得た一例を報告する.【症例】72歳,女性.28年前に右乳癌に対して手術および放射線療法を施行された.右鎖骨は骨壊死を生じ偽関節の状態であった.2010年6月頃より右鎖骨部に皮膚潰瘍を生じ骨髄炎を来たした.保存療法を行うも創部からの断続的な出血を認めたため緊急入院となり,全麻下に止血およびデブリードマンを施行した.その後も創処置を継続したが感染の完全鎮静化は得られず創部の肉芽形成も不良であったためV.A.C.ATS®治療システム(KCI社,米国)を使用した.その結果,肉芽形成が促進され,大網充填術および分層植皮術により創の完全閉鎖が得られた.【結語】乳癌放射線治療後の骨髄炎に対してVAC療法は有用な方法であった.

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© 2012 西日本整形・災害外科学会
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