以前,鏡視下腱板修復術(ARCR)の成績を報告した.術後臨床成績は良好であったが大,広範囲断裂例,術前筋萎縮進行例で再断裂が多かった.この反省を踏まえ適応を厳選しARCRを行ってきた.今回,適応厳選前後の成績を調査したので報告する.2005年10月から2009年7月の前期に行った80肩と2009年8月から2010年8月の後期に行った58肩を対象とした.両期での断裂形態,断裂腱板筋萎縮,腱板修復状態,臨床成績を調査した.大,広範囲断裂,筋萎縮進行例の割合が有意差はなかったが後期で減少していた.腱板修復状態は後期で有意に改善していた.臨床成績は両期とも術後有意に改善していた.適応を厳選すれば再断裂例は減少していた.一時修復不能例の多くは陳旧性腱板断裂の有症状化と考えられる.個々の症例に合わせた保存療法も含めた治療法の選択が必要である.近年のARCRの成績から若年の修復可能な症候性腱板断裂例は修復不能例を予防するためにも積極的な手術が推奨される.