整形外科と災害外科
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外傷後嚢腫様病変を呈した三角骨骨折の1例
上木 智博冨田 伸次郎浦川 伸弘菅 政和
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キーワード: 骨折, 三角骨, 骨嚢腫
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2012 年 61 巻 3 号 p. 385-387

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抄録

三角骨骨折は比較的まれな外傷である.今回我々は,転倒外傷後に嚢腫様病変を呈した三角骨骨折の1例を経験したので報告する.症例:53歳,男性.現病歴:2010年10月自転車走行中に左手をついて受傷.左手関節背側部痛を訴え,当院受診後精査にて三角骨嚢腫の診断にいたる.左手関節痛が持続し,嚢腫性病変の診断のため同年12月手術施行.手背部の小切開によるアプローチにて三角骨に到達後,欠損部分の掻爬後リン酸カルシウム骨セメント(以下CPC)を注入して手術終了した.病理所見上骨の壊死組織主体で腫瘍性病変なく,確定診断は三角骨骨折であった.術後三カ月程度で疼痛も消失し,現在日常生活に支障のない状態である.考察と結語:今回嚢腫性病変を来した三角骨骨折を経験したが,海綿骨の損傷が大きい場合,今回のような骨嚢腫との鑑別が必要となるため注意が必要である.

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© 2012 西日本整形・災害外科学会
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