整形外科と災害外科
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直腸断裂を伴った開放性骨盤骨折1例の治療経験
岡村 直樹中島 伸一佐久間 克彦本多 一宏宮本 和彦岡田 二郎今村 悠哉井本 光次郎細川 浩城下 卓也岡野 博史前川 剛士
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2012 年 61 巻 3 号 p. 419-423

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抄録

開放性骨盤骨折は腹部臓器の損傷を伴うことが多く,致死性の外傷である.今回我々は尿路損傷,直腸断裂を伴う開放性骨盤骨折を経験したので報告する.症例は36歳男性,乗用車運転中大型クレーン車との衝突事故にて受傷.不安定型骨盤骨折が認められ,出血性ショックのため血管造影,塞栓術施行.術後尿路損傷,直腸断裂が判明し,膀胱瘻造設,人工肛門造設施行.骨盤骨折に対しては創外固定術施行.その後深部感染,敗血症を生じ計3回の切開排膿,デブリードマンを施行し改善.現在両下肢装具にて杖歩行のレベルである.直腸損傷は頻度は少ない合併症であるが,便汚染を生じると深部感染を生じやすく敗血症を生じ晩期の死因の一つとなる.診断には今まで出血の有無が重視されてきたが,精度に疑問視も多く,繰り返し行うCTが重要であると考える.また,治療には膀胱瘻,人工肛門造設して二次感染を防止することが重要であると考える.

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© 2012 西日本整形・災害外科学会
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