整形外科と災害外科
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再発性胸椎硬膜外髄外造血の一例
神原 なおこ豊田 耕一郎田中 浩
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2012 年 61 巻 3 号 p. 509-512

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抄録

骨髄線維症に合併した胸椎硬膜外髄外造血巣に対して放射線治療を施行し,短期間で再発した症例を経験したので報告する.症例は59歳男性.H19年に骨髄線維症と診断され血液内科通院中であった.H21年9月に下肢筋力低下,歩行障害が出現し当院入院となった.MRIでは,T4~T9の硬膜外背側に連続する腫瘤像と脊髄の圧迫を認めた.血小板輸血後にCTガイド下針生検を施行し,病理組織より髄外造血と診断した.放射線治療により腫瘤は縮小し,独歩可能となり退院したが,2か月後のMRIにてT5~T9の硬膜外背側に腫瘤の再発を認めた.再発までの時間,再再発のリスクを考慮し,T4~T10の椎弓切除術を施行し,放射線の追加照射後に独歩退院した.術後約1年で骨髄線維症の増悪により永眠されたが,髄外造血巣の再発は認めなかった.硬膜外髄外造血巣による脊髄圧迫による下肢進行性麻痺に対しては手術療法による除圧を積極的に考慮すべきである.

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© 2012 西日本整形・災害外科学会
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