2012 年 61 巻 4 号 p. 697-699
難治性骨関節感染症の治療において抗菌縫合糸を使用し,良好な結果を得た症例を経験したので報告する.抗菌縫合糸は,難治性感染の原因菌である黄色ブドウ球菌,表皮ブドウ球菌,MRSA,MRSEなどに対する静菌作用があることから,手術的治療で用いられる.我々の経験した難治性骨関節感染症の起炎菌は表皮ブドウ球菌とMRSAであり,いずれの起炎菌の増殖抑制効果が期待できた.感染部位の十分なデブリドマンの後,縫合時に抗菌縫合糸を用いることで局所での抗菌作用が期待できたものと推察された.抗菌縫合糸は,骨関節感染症での治療に用いることで静菌作用が期待できるものと考えられた.