整形外科と災害外科
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健常男性に発症した鎖骨下静脈血栓症の一例
矢澤 克典宮崎 信福田 和明沼田 亨祐井上 哲二中島 三郎山内 達朗
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2012 年 61 巻 4 号 p. 700-703

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抄録

【症例】62歳男性【主訴】左上肢の腫脹【現病歴】ある日誘因なく左上肢の腫脹を自覚した.外来で経過観察されていたが,腫脹が増強してきたため精査目的で再度当科受診となった.【理学所見】左上肢全体に腫脹を認めた.【検査所見】D-dimerが1.7と高値を示した.静脈エコー検査で左鎖骨下静脈および内頚静脈に血栓を認めた.【治療】入院時よりヘパリンの持続点滴を開始した.入院後12日目よりワーファリン内服を開始した.【経過】ヘパリンからワーファリンの内服加療へ切り替え抗凝固療法を継続したところ,治療開始から3週間後の静脈エコー検査で血栓の縮小傾向が認められたため退院となった.その後外来で内服加療を継続し,治療開始より3ケ月で血栓の消失が確認されたため内服終了とした.【考察】鎖骨下静脈血栓症は片側上肢の腫脹を来たす疾患の鑑別として重要であり,重大な合併症を防ぐためにも早期の治療が必要である.

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© 2012 西日本整形・災害外科学会
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