整形外科と災害外科
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TRACP-5b検体の安定性に関する問題点についての検討
辻 王成浦門 操小柳 英一篠原 道雄久重 雅由成尾 政一郎成尾 政圀
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2012 年 61 巻 4 号 p. 788-792

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抄録

現在,酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ5b分画(TRACP-5b)の測定値は安定した結果が得られているが,当院で検査を開始した当初は測定値のばらつきや治療後の値に上昇がみられた.そこでTRACP-5bの信頼性を確認するため,同一の12凍結検体を当院の通常検査ルート及びメーカー直送の2ルートで測定した.結果,測定値の差は平均16.8%で1検体を除き当院検査ルートでの測定値が低かった.当院検査ルートでの測定過程を検証すると,検体は検査会社(A)で融解されTRACP-5b以外の項目を測定した後再凍結し,別の検査会社(B)でTRACP-5bが測定されていた.検査会社(A)を経由する過程を除いた結果を検証するため,同一の10凍結検体を検査会社(B)とメーカーで測定すると,測定値の施設間差は平均4.7%と有意に縮小した.この結果から検査会社(A)で室温放置や凍結融解の繰り返しで血清中のCO2の逸脱,NH3の産生によりアルカリ側へ推移し活性が低下したと考えた.TRACP-5bの検体はその特性を踏まえた取り扱いをする必要がある.

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© 2012 西日本整形・災害外科学会
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