2013 年 62 巻 1 号 p. 109-111
【目的】血栓塞栓症(VTE)予防として皮下注射と経口のXa阻害剤を比較したので報告する.【対象】2011年4月より2012年3月までで人工股関節全置換術後にXa阻害剤を使用した316例を対象とした.皮下注群は123例であり経口群は193例であった.【方法】術翌日よりXa阻害剤を使用し,術後4日目に高度の貧血の進行を認めた場合中止とした.経口群は簡易クレアチニンクリアランス計算式,年齢,体重,併用薬にて使用容量を決定した.評価項目として術後出血量,術前-術後1週でのHb低下量,術後1週でのD-dimer値,Xa阻害薬の中止率・延長率,輸血の有無,VTEの発生率において検討を行った.【結果】全例で症候性VTEを認めず,皮下注群と経口群では術後1週でのD-dimer値において経口30mg投与群が皮下注群と比較し有意に低値であったが,それ以外の項目においては有意差を認めなかった.【考察】使用量の決定は適切であったと考えられる.今後さらなる検討が必要である.