2013 年 62 巻 1 号 p. 157-159
【はじめに】比較的稀な低悪性線維粘液性肉腫を3例経験したので報告する.【症例1】21歳女性.6ヶ月前より増大するφ8cmの腫瘤を左殿部に認めた.術前・術中に針生検を行ったが悪性所見なく辺縁切除を行った.【症例2】39歳女性.10年前より増大するφ5cmの腫瘤を右前腕に認めた.MRIでは橈骨に隣接した境界明瞭な充実性腫瘤であった.術前針生検で悪性所見なく辺縁切除を行った.【症例3】51歳女性.7年前より増大するφ8cmの腫瘤を左腹壁に認めた.MRIでは左腹直筋~皮下に存在する境界明瞭な多結筋性充実腫瘤であった.術中針生検で悪性腫瘍を否定できず広範切除行った.【考察】低悪性線維粘液性肉腫は細胞異型が少なく細胞成分に乏しい悪性腫瘍で,その診断には十分量の検体が必要である.長期経過を経て増大する軟部腫瘍は,針生検で悪性の確診が得られずとも本疾患を念頭に置いて,更に切開生検を行う必要がある.