整形外科と災害外科
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下腿コンパートメント症候群を合併した脛骨近位端開放骨折の1例
竹内 直英前 隆男佛坂 俊輔佐々木 宏介松下 昌史見明 豪口石 倫太朗野口 康男
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2013 年 62 巻 1 号 p. 42-46

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抄録

症例は58歳男性.小屋の解体作業中に立てかけていた材木(20cm×15cm×3.5m)が右下腿部に落ちてきて受傷した.前医で創処置とギプスシーネ固定を受けた後,翌日(受傷から28時間経過)当院紹介受診となった.右下腿近位部に2cm大の開放創を認めた.また,前脛骨筋筋力の低下(MMT 3)を認めた.単純X線,CTにて右脛骨近位端開放骨折(AO41-C1.1,Gustilo type 2)と診断した.同日デブリドマン・創外固定術を行った.下腿筋区画内圧は,前外側73mmHg,外側79mmHg,後方浅層64mmHg,後方深層59mmHgであったため,筋膜切開とshoelace法による創処置を追加した.初回手術後7日目に筋膜切開部を創閉鎖し,14日目にプレート固定術を行った.脛骨近位端開放骨折では,開放創の大きさや骨折型によらず下腿コンパートメント症候群の合併を常に留意する必要がある.本症例は,架橋型創外固定術,筋膜切開,最終固定術の段階的治療により創感染や運動麻痺を予防し,良好な経過であった.

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© 2013 西日本整形・災害外科学会
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