整形外科と災害外科
Online ISSN : 1349-4333
Print ISSN : 0037-1033
ISSN-L : 0037-1033
青年のアルコール性上腕骨頭壊死に対して骨軟骨移植術を施行した1症例
瀬尾 哉柴田 陽三伊崎 輝昌篠田 毅城島 宏秋吉 祐一郎ファン ジョージ今村 尚裕轟木 崇也
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 62 巻 1 号 p. 85-88

詳細
抄録

アルコール性上腕骨頭壊死の1症例に骨軟骨移植術を施行し,満足できる結果を得たので報告する.症例は22歳男性.職業:農業.高校卒業後より農閑期になると連日連夜1升の飲酒を続ける.某医受診し右上腕骨頭の異常陰影を指摘され当科を紹介.挙上150度,外旋50度,内旋L2,JOA score:77点(疼痛:15点)であった.単純X線写真で骨頭頂部に骨透過像を認め,MRIで骨頭内に帯状低信号域,CTで骨頭の陥凹を認めた.アルコール性上腕骨頭壊死の診断で直視下骨軟骨移植術を施行した.病巣を掻爬後,右膝から採取した3本の骨軟骨柱を移植した.患肢を前胸壁固定とし,3日目から振り子運動・下垂位他動外旋を開始.他動挙上は5週目から,自動挙上は7週目から開始した.術後1年の現在,疼痛は消失し,JOA scoreは95点である.Xp・CT・MRI上,骨壊死の進行を認めない.若年者の上腕骨頭壊死に対する骨軟骨移植術は有用な方法である.

著者関連情報
© 2013 西日本整形・災害外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top