整形外科と災害外科
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橈骨遠位端骨折に対する掌側ロッキングプレート固定後の長母指屈筋腱断裂の1例
山下 尚寛上村 篤史山家 健作吉川 尚秀南崎 剛
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2013 年 62 巻 2 号 p. 231-233

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抄録

近年橈骨遠位端骨折に対して掌側ロッキングプレートによる固定が定着しつつあるが,その一方で,術後の長母指屈筋腱(FPL)断裂の報告が散見される.今回FPL断裂を生じた一例を経験したので報告する.症例は42歳,女性.階段から転倒し,右橈骨遠位端骨折(AO分類C-1)を認めた.受傷翌日Acu-Loc Distal Radius Plateによる掌側プレート固定を行った.その後経過良好で骨癒合を認めたが,術後4カ月にまな板を持ち上げた際に音がし,直後から母指IP関節の屈曲が不能となった.FPL断裂と診断して手術を行った.術中所見は,プレートの遠位のエッジに一致した部位でFPLの断裂を認めた.プレート抜去と長掌筋腱腱移植術を行った.FPL断裂の原因として術後の橈骨の短縮,方形回内筋の修復が不十分であること,プレートの浮きやスクリューのバックアウトなどが報告されている.本症例では橈骨の短縮とプレートの突出が原因と考えた.

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© 2013 西日本整形・災害外科学会
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