左示指基節骨遠位部と右鎖骨遠位部に血行性骨髄炎を生じた低酸素血症を伴う慢性呼吸器疾患を有する83歳男性の一例報告である.両部位とも痛みを主訴とし,発熱は殆どなかった.X線,MRIで骨融解像,嚢腫状病変が見られた.両部位とも切開による病巣掻爬で炎症は鎮静化した.摘出病巣組織の病理検査では骨吸収像と炎症所見を認めたが,細菌は検出されなかった.動脈血の細菌培養検査と血清プロカルシトニン検査は陽性であった.本例は慢性呼吸器疾患による免疫能低下による亜急性な血行性骨髄炎を生じた非定型的な症例と思われたので報告した.