整形外科と災害外科
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中手骨に発生したサルモネラ骨髄炎の1例
井上 拓馬古市 格村田 雅和小河 賢司森口 昇田中 尚洋坂井 達弥
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キーワード: サルモネラ, 骨髄炎, 中手骨
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2013 年 62 巻 2 号 p. 251-254

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抄録

サルモネラ菌は消化器感染症の原因菌として知られ,消化器以外にも多様な臨床症状を呈するが,まれに骨髄炎を発症することがある.今回,我々は中手骨に発症したサルモネラ骨髄炎の1例を経験したので報告する.症例は18歳男性.幼少時に右3,4指の結核性骨髄炎の疑いにて手術の既往あり.17歳時,特に誘因無く右手背の腫脹と疼痛出現.近医受診し当院へ紹介となる.MRIにて皮下膿瘍を認め,洗浄,ドレナージ,サルモネラ菌検出され,抗菌剤投与にて症状改善している.13カ月後に再度右手背の腫脹が出現し来院.単純X線,MRIにて骨髄内病変を認め掻爬洗浄,抗菌剤含有β-TCPを骨髄内に留置している.術後症状改善.術後3カ月現在,感染再発兆候は認めていない.サルモネラ骨髄炎は経口から腸管吸収を経て血行性に成立するとされるが,今回の症例の様に先行する消化器症状無く骨髄炎を生じる場合や,数回の外科的治療を要す場合もあり注意が必要と考える.

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© 2013 西日本整形・災害外科学会
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