整形外科と災害外科
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非定型大腿骨骨折の治療経験
小牧 ゆか小牧 宏和小牧 一麿帖佐 悦男
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2013 年 62 巻 2 号 p. 312-315

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抄録

ビスホスホネート製剤使用例に生じた非定型大腿骨骨折の報告が散見され,骨代謝回転の過剰抑制(SSBT)の可能性が示唆されている.今回非定型大腿骨骨折を経験したので報告する.96歳女性.約3年前より近医で骨粗鬆症の診断にてアレンドロネート開始となっていた.左大腿痛を認め,近医にて神経痛と診断,その2ケ月後に自宅で起立時に左大腿痛のため体幹支えきれずに転倒.当院受診し,左大腿骨骨幹部骨折を認めた.入院時の骨代謝マーカーTRACP-5bは正常値未満でありSSBTを疑い,左大腿骨骨折に対して髄内釘を用いて骨接合術施行した.反対側のMRI検査で右大腿骨骨幹部に陳旧性の不全骨折を認めた.現在,骨粗鬆症治療として,テリパラチド投与中である.SSBTによると思われる非定型大腿骨骨折を経験した.骨粗鬆症治療では,定期的な骨代謝マーカーや骨密度測定値をもとに適切な薬剤選択を考慮すべきである.

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© 2013 西日本整形・災害外科学会
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