2013 年 62 巻 2 号 p. 320-324
近年,ビスフォスフォネート(BP)製剤長期投与中での低エネルギー外傷を契機とした非定型大腿骨骨折の報告が散見される.当科においても同様と考えられる症例を3例(4肢)経験したので報告する.症例1は74歳女性,アレンドロネートを4年2カ月服用後に転倒し右大腿骨骨幹部骨折受傷,順行性髄内釘にて骨接合術を施行した.3年9カ月後に左大腿骨骨幹部骨折を受傷した.症例2は74歳女性,リセドロネートを1年8カ月服用後に右大腿部痛が出現し,休薬していた.9カ月後に転倒し,右大腿骨骨幹部骨折を受傷した.ロッキングプレートにて内固定し,PTH製剤(テリパラチド)を開始した.症例3は80歳女性,アレンドロネートを3年1カ月服用後に転倒し右大腿骨骨幹部骨折を受傷した.順行性髄内釘にて内固定し,テリパラチドを開始した.非定型大腿骨骨折の治療には,テリパラチドが有用である可能性がある.