2013 年 62 巻 2 号 p. 325-328
【はじめに】首下がりを伴う頚椎症性脊髄症に対し手術を行った1症例を経験したので報告する.【症例】79歳男性.主訴,項頸部痛,前方注視困難,四肢のしびれ.現病歴,H21.10月より特に誘因なく首下がりとなり,4カ月後より頸椎伸展にて四肢の異常感覚出現するようになり当院受診,その後入院となる.レントゲン上,著明な後弯,MRI上C5/6.6/7での脊髄圧迫所見を認めた.理学所見上,明らかな脊髄症状を認めた.予定手術として2期的手術を考え脊髄症状改善のため,C5/6.6/7頚椎前方固定,その後残存する後弯に対し後方固定を予定するも,頚椎前方固定術のみにて脊髄症状,後弯変形ともに改善を認めた.【考察】病歴からは,後弯変形が先行しその後脊髄症状が出現したと考えられたが症状の改善からは,脊髄症状により後弯を呈したと考えられた.