2013 年 62 巻 3 号 p. 431-435
PS型TKAにおいて現在のギャップテクニックを行うようになった経緯,現在の手技に至る変遷,現在の手技における注意点,臨床成績および術中計測結果について報告した.術中計測したコンポーネントギャップは,ギャップ長は完全伸展位のみで約2mm狭いが,屈曲10度,屈曲45度,屈曲90度ではほぼ等長であった.また全ての屈曲角度で良好な軟部組織バランスが得られていた.軟部組織の解離法を工夫することにより,大腿骨コンポーネントの回旋設置位置は以前に比較して上顆軸に近似してきており,膝蓋大腿関節の安定性もより向上していた.ギャップテクニックは,十字靭帯の欠損したPS型TKAにおいては日常生活動作で重要な中間屈曲位の安定性を保持するために有用な手術法である.