2013 年 62 巻 3 号 p. 498-501
【要旨】2004年以降,当院に救急搬送された70歳以上の頸椎頸髄損傷患者33例において,受傷機転,骨傷/非骨傷の割合,損傷高位,合併損傷,治療法,入院時と退院時の麻痺(Frankel分類),治療経過について検討を行った.【結果】受傷機転は転倒が最も多かった.非骨傷例が約2/3を占め,骨傷例ではC2が多かった.合併損傷は24%に認め,特に骨傷例では半数に認めた.入院時の麻痺の程度は,Frankel A:3例,B:3例,C:7例,D:11例,E9例であった.退院時Frankel C以下の8症例では,2例が死亡し,多くの症例が全介助であった.【考察】高齢者では転倒による非骨傷例が多く,また骨傷例においては,軽微な外傷によるC2高位損傷が多く,過去の報告と同様であった.重度麻痺例では全身状態が悪化する症例もあり,慎重な全身管理が必要と思われる.