整形外科と災害外科
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大腿骨転子部骨折に対するAlexa nailの術後X線学的検討
―回旋予防screwを使用しなかった症例について―
中島 武馬土井口 祐一石井 孝子西野 雄一朗野口 智恵子杉山 健太郎増田 賢一宮路 剛史田口 勝規
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2013 年 62 巻 3 号 p. 562-565

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抄録

【目的】大腿骨転子部骨折に対する治療で,回旋予防screwを用いていない症例の成績を調査すること.【対象と方法】当院にて2010年1月から2012年6月までにアレクサネイルを用いて骨接合術を行った314股のうち,術後6週以上フォローアップした135股を対象とした.Jensen分類による骨折型,lag screwのsliding量,術後TAD,正面および側面の術後整復位,合併症(lag screwの10mm以上のsliding,cut out,偽関節の有無)について検討した.【結果】Lag screwのsliding量は,最終観察時でJensen type I:1.1mm,II:4.8mm,III:5.6mm,IV:4.9mm,V:6.6mmであり,type Iで有意に少なかった.10mm以上のslidingを8股に認め,Jensen type II:2股,III:3股,IV:1股,V:2股であった.【考察】回旋予防screwを使用しない場合は,より正確な解剖学的整復が求められる.10mm以上のslidingは,Jensen type II~Vまで認めており,安定型の骨折にみえても過度のslidingを生じる事がある.type I,IIの明らかな安定例以外は,積極的に2nd screwを用いて回旋を防止した方がよいと考えられた.

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© 2013 西日本整形・災害外科学会
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