整形外科と災害外科
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単純X線正面像における骨盤回旋の定量化
新井 貴之中島 康晴山本 卓明本村 悟朗大石 正信濱井 敏岩本 幸英
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2013 年 62 巻 3 号 p. 584-588

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抄録

〔目的〕横断面における骨盤回旋は左右の閉鎖孔の形態の変化によって評価されることが多い.今回,骨盤標本を用いて回旋角度と閉鎖孔の形態変化を定量化したので報告する.〔方法〕男女の骨盤標本を用い,両上前腸骨棘と恥骨結合を結ぶ面(APP)を基準とした.骨盤前傾10度,前後傾0度,後傾10度および20度の条件下で,APPを5度ずつ回旋させて正面像を撮影し,左右の閉鎖孔の横径比を算出した.測定は3回繰り返し,その平均値を使用した.〔結果〕閉鎖孔横径比は回旋によって直線的に変化し,前後傾0度の条件では回旋1度あたり平均0.05であり,横径比が半分になる回旋角度は平均10.0度であった.また回旋によって片側閉鎖孔が見えなくなるまでの角度は平均21度であった.骨盤前傾により閉鎖孔は縦横とも小さくなり,上記角度はそれぞれ小さくなった.〔結論〕骨盤回旋のおおよその目安として閉鎖孔横径比が1:2になる角度は10度程度であった.

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© 2013 西日本整形・災害外科学会
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