整形外科と災害外科
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小児橈骨頸部骨折の治療経験
田浦 智之朝長 匡飯岡 隆上戸 康平
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2013 年 62 巻 4 号 p. 809-812

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抄録

小児橈骨頸部骨折は橈骨の近位骨端核の出現する5歳以降に多く発生する.橈骨頭を覆う厚く弾力性のある軟骨の存在により,骨頭内の骨折を生じることは稀であり,ほとんどが頸部骨折の形態をとる.治療法については橈骨頭傾斜角の自然矯正はほとんど期待できないとの諸家の報告もあるため,当科では橈骨頭傾斜角15°未満であればまず保存的療法を選択.15°以上認める症例に対しては徒手整復法,経皮的整復法,観血的整復法等の治療を行っている.一般的に観血的整復は骨頭壊死,近位橈尺関節癒合等の重篤な合併症の危険性が高くなるため,まずは徒手整復法,経皮的整復法といった低侵襲な治療法を試みるべきであると思われる.今回我々は徒手整復不能であった転位の著明な小児橈骨頸部骨折3例に対して,Kirschner鋼線を用いて経皮的整復固定術を行い,良好な成績が得られたため若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2013 西日本整形・災害外科学会
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