整形外科と災害外科
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多発骨病変を呈した成人ランゲルハンス細胞組織球症の1例
伊藤 仁佐藤 広生末吉 貴直岡 潔水田 博志
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2014 年 63 巻 1 号 p. 160-165

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抄録

多発骨病変を呈した成人ランゲルハンス細胞組織球症(以下LCH)の1例を経験したので報告する.症例は20歳,男性.腰痛,殿部痛,発熱を主訴に近医を受診した.MRIで第3,5腰椎,仙骨に腫瘍性病変を疑われ当科紹介となった.骨シンチとPET-CTでは上記に加えて,肋骨,胸椎,腸骨などの多数の骨と多発のリンパ節にも異常集積が見られ,血液検査では白血球,ALP,CRP,sIL2-Rの上昇を認めた.腰椎病変に対してCTガイド下針生検を施行し,病理では炎症細胞の浸潤を認め骨髄炎の所見であった.LCHとchronic recurrent multifocal osteomyelitisが鑑別に挙がったが免疫染色を行う組織材料がなく確定診断には至らなかった.さらに肋骨病変に対して切開生検術を施行し免疫染色にてLCHと確定診断された.LCHは通常10歳以下の小児に好発し,成人では稀とされており,中でも多発骨病変を呈する症例の報告は数少ない.確定診断には免疫染色が必須であり,針生検で診断がつかない場合は積極的に切開生検を行うべきである.

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© 2014 西日本整形・災害外科学会
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