2014 年 63 巻 1 号 p. 95-98
症例:63歳,男性.数年前より動作時に腰痛を自覚していた.腰痛は自然と軽快したが,右大腿前面痛を自覚し20分の起立保持が困難となったため当科紹介となった.初診時身体所見で下肢筋力は正常であったが,右PTRが低下していた.X線像でL4分離すべりとL4/5椎間板高の減少を認めたが不安定性は無かった.MRIで分離部での右L4神経根の圧迫を認めた.以上より分離部でのL4神経根圧迫が主病変と考え内視鏡視下分離部除圧術を施行した.術後より右大腿部痛は軽減し,術後10か月の現在2時間以上の立ち仕事も可能となる.考察:腰椎分離すべり症に対する手術は椎体間固定術が選択される場合が多いが,自験例では内視鏡視下分離部除圧術を選択し良好な治療成績が得られた.不安定性が無く神経根圧迫症状を主訴とする腰椎分離すべり症に対し,低侵襲手術である内視鏡視下分離部除圧術は良い適応と考える.