2014 年 63 巻 1 号 p. 99-103
脊椎手術を施行した69例を対象とした.DVT予防として,弾性ストッキング,足部のフットポンプ,足関節自動運動を行った.DVT診断には下肢静脈エコーを用いた.術前DVT陽性例は51例中10例(19.6%)に認めた.術前術後を含めると全体の23.2%にDVTを認めた.男女間でDVT発生頻度に有意差を認めなかったが,近位型DVTでは有意差を認めた.DVT陽性群とDVT陰性群で足関節筋力に有意差を認めた.術前左ヒラメ静脈血栓陽性の1例で術後同側の近位型DVTを併発し経時的に近位へ増大するのが確認されたが,DVT治療を施行し症候性PEを未然に防ぐことが可能であった.侵襲なく何度でも繰り返し行える下肢静脈エコーはDVTスクリーニングに有用と考えられる.