整形外科と災害外科
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第6頚椎分離すべり症に合併した頚髄症の一例
福島 俊寺田 和正小原 伸夫宮崎 清小早川 和宮原 寿明
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2014 年 63 巻 2 号 p. 314-317

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抄録

頚椎分離すべり症は比較的稀な疾患である.我々は第6頚椎分離すべり症に伴う頚髄症の一例を経験したので報告する.症例は62歳男性.外傷の既往なし.某年8月から,両手母指から中指の痺れを自覚していた.翌年1月に両下肢の痺れが出現し同年3月に当科を紹介受診した.手指巧緻運動障害,上肢腱反射の亢進,握力低下,四肢の痺れがあり,MRIではC5/6高位での頚髄の圧排とT2強調像での髄内高信号,およびL4/5高位での脊柱管狭窄を認めた.単純X線写真とCTで第6頚椎の二分脊椎と分離すべり症を認めた.頚髄症と腰部脊柱管狭窄症の合併と診断し,症状増悪傾向のため同年6月に頚椎椎弓切除術(C4尾側,5,6,7頭側)を施行した.術後6か月の時点で上肢の痺れは軽減し,画像検査上も頚髄は除圧良好ですべりや不安定性の増悪なく,局所後弯も認めなかった.除圧術単独で短期経過に問題はないが,不安定性の増強等を中心に長期間の経過観察が必要である.

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© 2014 西日本整形・災害外科学会
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