2014 年 63 巻 3 号 p. 561-563
【はじめに】腰仙部神経根奇形は術前画像診断が困難で術中に医原性神経損傷の危険がある.今回術前の画像所見から神経根奇形を診断し,安全に手術を施行できた腰椎椎間板ヘルニアの1例を経験したので報告する.【症例】22歳男性.特に誘因なく左下肢痛としびれが出現し,保存的加療を受けるも症状が軽快しないため当院紹介受診.下肢伸展挙上試験(SLR test)は30°で陽性,左L5根の固有知覚領域に放散痛を認めた.MRI冠状断像および,MRIミエログラムにて左L5神経根は2本の神経が併走していた.画像所見より神経根奇形部に発症した腰椎椎間板ヘルニアの診断にて手術を行った.術中所見では神経根奇形を確認し,ヘルニアを切除した.【結語】術前の画像所見により神経根奇形を診断できた.そのため術中愛護的に神経根を排除し安全にヘルニアを切除し,良好な経過を得た.