整形外科と災害外科
Online ISSN : 1349-4333
Print ISSN : 0037-1033
ISSN-L : 0037-1033
尺側全手根中手関節脱臼骨折の1例
太田 真悟﨑村 幸一郎中原 信一衛藤 正雄
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 63 巻 3 号 p. 581-584

詳細
抄録

【はじめに】稀な尺側全手根中手関節脱臼骨折の1例を経験したので報告する.【症例】73歳,男性.既往歴に特記すべき事項はない.現病歴:バイクで走行中に乗用車と衝突して受傷.単純X線・CTで左第2~5手根中手関節背側脱臼と第5中手骨基部粉砕骨折,有鈎骨骨折を認めた.同日,脱臼整復固定術を施行した.第4,5CM関節は徒手的に整復保持できたが第2,3CM関節は整復及び保持が困難でありエレバトリウムを用いて整復し,Kirschner鋼線(k-wire)で固定した.術後10週で骨癒合が得られ,k-wireを抜線した.術後3ヵ月で痛みなく,良好な機能回復が得られた.【考察】尺側全手根中手関節脱臼骨折は稀な外傷であり本邦で把握できた範囲で10例の報告のみである.単純X線だけでは診断に難渋することもあり,CTが有用であるとの報告も多い.また整復位の保持が困難であり,観血的整復固定術を奨める報告も多い.本症例においても第2,3CM関節に関しては徒手的に整復できずに,観血的整復が必要であった.

著者関連情報
© 2014 西日本整形・災害外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top