2014 年 63 巻 4 号 p. 676-681
膝周囲発生の稀なsoft tissue chondromaの1例を経験したので報告する.【症例】61歳男性.平成24年8月より右膝の腫瘤を自覚し増大傾向を認めたため,近医を受診した,平成25年1月にガングリオンの診断のもと摘出術を施行されたが,術中にガングリオンではないと判明し表層のみの生検に留め,当科紹介受診となった.右膝外側に径6×5cmの弾性硬,可動性不良な腫瘤を触知し,XpおよびCTでは石灰化があり,MRIでは右膝外側に腫瘤性病変を認め,T1WIで等信号,T2WIで高信号,Gdにて辺縁に増強効果,STIRで腫瘍内に著明な高信号を認めた.深部からの再生検を行い,悪性でないことを確認し,摘出術を施行した.腫瘍は膝関節外に存在し,術後病理はsoft tissue chondromaの診断であった.【考察】soft tissue chondromaは主に手や足に好発する比較的稀な良性軟部腫瘍で,膝周囲発生は稀である.再発率が比較的高く,被膜および癒着組織の合併切除が必要であると考えられた.