2014 年 63 巻 4 号 p. 732-736
【目的】股関節滑膜性骨軟骨腫症を4例(4股)経験したので文献的考察を加え報告する.【症例】1)46歳男性.2年前より右股痛.単純X線で診断.2)65歳男性.2年前より右股痛.単純X線で診断.3)54歳男性.7年前に他院で内視鏡術後,右股痛の再発あり.単純CTで診断.4)58歳女性.10年前より左股痛.単純X線で診断.【結果】Retrospectiveに単純X線像を検討すると,4例中3例で術前に関節裂隙の開大を認めた.特徴として荷重部よりも上方と内側の関節裂隙の開大を認めた.これはYoonらの報告と一致する.【結論】股関節滑膜性骨軟骨腫症は,遊離体の石灰化・骨化を伴わないものも多数認めるため,単純X線像のみでは骨軟骨腫症の診断が難しい場合もある.股関節痛を訴える患者の単純X線像にて関節裂隙の開大を認めた際には,当疾患を鑑別に挙げることが重要である.