2014 年 63 巻 4 号 p. 760-762
はじめに:筋内及び筋間血腫は放置すると観血的治療が必要となることがある.今回,我々は殿筋内血腫2例に対しウロキナーゼ注入療法を行い良好な成績を得たので報告する.症例1:17歳男子 投手.投球フォームを変えた後より左殿部痛が出現.初診時,左殿部に弾性軟の腫瘤を触知,左股関節ROM制限を認めた.MRIにて中殿筋内血腫と診断しウロキナーゼ注入療法を施行.血腫消失し3週間後よりゲームへ復帰した.症例2:13歳男子 サッカー部 キーパー.試合後より右殿部腫脹出現.右殿部に圧痛・股関節ROM制限を認めた.MRIにて大殿筋内血腫と診断しウロキナーゼ注入療法を施行.2週後にスポーツ復帰した.考察:2002年立石らは筋内血腫が穿刺吸引困難な場合,観血的治療を考慮する前に簡便で低侵襲であるウリキナーゼ注入療法を試みる価値があると報告している.今回,当院で本療法を行った2例で早期にスポーツ復帰が可能であり有効な治療法と考えられた.