整形外科と災害外科
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大腿骨転子部骨折骨接合術後の側面像に関する検討
岩田 真一郎池村 聡井口 貴裕松井 元光安 浩章川原 慎也馬渡 太郎
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2015 年 64 巻 2 号 p. 306-308

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抄録

【はじめに】大腿骨転子部骨折術後の側面像で術後経過中にSubtype N(生田分類)がSubtype Pとなる可能性がある事が報告されている.本研究の目的は,側面像での骨片間距離と術後Subtypeの経時的変化についての関連を検討することである.【対象】大腿骨転子部骨折に対して髄内釘(全例MDM社OMネイル)を施行した20例を対象とした.男性5例,女性15例で手術時平均年齢は82.8歳であった.術後平均観察期間は1ヶ月(0.5~4ヶ月)であった.骨折型(Jensen),術直後および最終時のSubtype,術直後骨片間距離(側面像)を検討した.【結果】術直後SubtypeはA:1例,N:18例,P:1例であり,骨片間距離は平均0.56mm(0~3.2mm)であった.Subtype NからPへ移行した症例を1例に認めた.【考察】当科では術中透視でSubtype Nでも骨片間距離がある場合,側面透視像で確認しながらコンプレッションをかけている.NからPへ移行した症例は20例中1例のみであったが,その症例の骨片間距離はなかった.原因として前方骨皮質の菲薄化が顕著であった事が考えられる.症例によっては報告通り,Subtype Aにする事が理想的かもしれない.

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© 2015 西日本整形・災害外科学会
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