2015 年 64 巻 2 号 p. 319-321
腰椎疾患を治療する場合に股関節疾患が潜在している症例も少なくない.腰椎単純X線に股関節を含めることは見逃しを予防できる利点がある.今回佐賀県整形外科標榜医療施設110施設における腰椎レントゲンの撮影方法についての実態を調査した.腰椎レントゲンフィルムの大きさ,股関節を含めているか,脊椎外科専門医勤務歴があるかを調査し,脊椎外科専門医勤務歴の有無で腰椎単純X線正面像に股関節を含めている割合を検討した.腰椎単純X線フィルムの大きさは半切12%,大角21%,B4 17%,大四切19%,四切31%であった.股関節を含めていた施設は25%であった.脊椎外科専門医の勤務歴は25%であり,脊椎外科専門医勤務歴ありの施設では46%,勤務歴なしの施設では18%で股関節を含めていた.股関節疾患の症状と神経根性疼痛が類似していることより,誤診を予防するためには腰椎レントゲン正面像に股関節を含めることが推奨される.