2016 年 65 巻 1 号 p. 1-4
皮膚病変に細菌感染を合併することは,日常の診療でしばしば遭遇するが,その起因菌は皮膚常在菌であることが多く,通常は抗菌薬の内服で軽快することが多い.しかし,糖尿病などの免疫力低下の背景を持つ患者では重症化し,壊死組織の除去を含めた外科的処置に加え全身管理が必要となることがある.今回我々は糖尿病患者において皮膚病変の感染が壊死性軟部組織感染症に進展した2例を経験したので報告する.両症例とも切開排膿術を施行し,抗菌薬の投与および厳重な血糖コントロールを行い軽快した.糖尿病などの易感染性の患者では皮膚の感染が重症化する可能性があり,早期に除圧目的の小切開を検討する必要があるのではないかと考えた.