整形外科と災害外科
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大腿骨転子部骨折に対する髄内釘固定術後の同側大腿骨骨幹部骨折の治療経験
村上 大気濱本 祐樹山本 真人谷田 玲近藤 康光
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2016 年 65 巻 1 号 p. 119-121

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抄録

大腿骨転子部骨折に対する髄内釘固定術後の二次骨折について検討した.対象は2010年1月から2015年1月までに大腿骨転子部骨折に対して髄内釘固定術を行った273症例のうち同側の大腿骨骨幹部骨折を生じた症例とした.検討項目は二次骨折の発生率,骨折形態,骨折時期,受傷機序,手術法とした.二次骨折は5例あり,その発生率は1.8%,骨折形態はネイル先端から遠位横止めスクリューにかかる二次骨折が4例,ネイル先端遠位の二次骨折が1例,それぞれの骨折時期は骨接合術後平均53.8日,1年であった.受傷機序は転倒2例,移乗動作時が3例,手術方法は全例ロングネイルで固定した.髄内釘固定術後の二次骨折のうちネイル先端から遠位横止めにかかる大腿骨骨幹部骨折は,遠位横止めにかかる応力の集中が関与している.二次骨折は術後早期に軽微な外力で生じており,高齢者や認知症による転倒リスクが高い症例では避けられない合併症の一つであると思われた.

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© 2016 西日本整形・災害外科学会
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