整形外科と災害外科
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化膿性膝関節炎様症状を呈した小児家族性地中海熱の1例
土居 満石井 孝子土井口 祐一藤川 敬太渡邊 精一郎
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2016 年 65 巻 2 号 p. 241-243

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抄録

家族性地中海熱(FMF)は感染や自己免疫によらない炎症が反復または持続する自己炎症性疾患である.今回我々は化膿性膝関節炎様の症状を呈したFMFの1例を経験したので報告する.症例は7歳男児.誘因なく左膝痛を発症.近医受診し経過観察となっていた.発熱,左膝腫脹が増強し歩行困難となり再診.関節穿刺液が膿性で,今後の治療目的に発症から9病日目に当院紹介となった.穿刺液は膿性であったが検鏡で菌は検出されなかった.WBC 8030,CRP 3.23と炎症反応の軽度上昇を認めた.化膿性関節炎としては経過が長く,データの異常も軽度で何らかの関節炎が疑われた.経過よりFMFを疑いコルヒチン投与を開始.開始後熱や関節腫脹は軽減したが,効果不十分なため増量し炎症反応は陰性化し腫脹,痛みも消失した.遺伝子検査でもMEFV(R202Q)ヘテロを認め,FMF非典型例と診断した.FMFは日本国内でも報告されており,膝関節炎の鑑別として念頭に置いておく必要がある.

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© 2016 西日本整形・災害外科学会
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