整形外科と災害外科
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四肢の脱力が急速に進行し造影MRIで肺癌に伴う癌性髄膜症と診断された1例
片江 祐二松本 康二郎近藤 秀臣西田 茂喜安田 学中西 良一平方 良輔
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2016 年 65 巻 2 号 p. 257-259

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抄録

【はじめに】MRI上腫瘤形成を伴わない癌性髄膜症を経験したので報告する.【症例】75歳女性.71歳時肺癌に対して呼吸器外科で胸腔鏡下右肺中下葉切除術を受けた.組織型は腺癌pT2a N2 M0 stage IIIAであった.術後2年目に再発し治療継続中であったが,術後4年目の平成X年9月食欲不振,全身倦怠感,腰痛,右下肢痛,両下肢脱力が出現したため精査目的で呼吸器外科に入院となった.頭部造影MRIで脳転移を認めず,当科での腰椎単純MRIで占拠性病変を認めなかった.その後四肢の脱力が進行してきたため10月神経内科を受診したが,胸椎単純MRIで異常を認めなかった.その後当科再診し,全脊椎造影MRIで脊髄への異常な造影効果を認め,癌性髄膜症と診断した.緩和治療を希望され,自宅退院後9日目で永眠された.【考察】癌の既往があり,頭部造影MRIで説明できない神経症状があるときは癌性髄膜症を疑い,脊髄の造影MRIを撮る必要があると考えた.

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© 2016 西日本整形・災害外科学会
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