整形外科と災害外科
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手三角骨骨折治療中に尺側部痛が出現した1例
松田 匡弘櫛田 学
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2016 年 65 巻 2 号 p. 285-288

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抄録

【はじめに】手三角骨骨折は比較的稀な外傷であるが,保存的治療で治癒する症例が多い.今回,三角骨骨折治療中に尺側部痛が出現した症例を経験したので報告する.【症例】63歳男性.階段から転落し,左手をついて受傷.同日当院受診され,X線上三角骨骨折の診断にて,手関節シーネ固定2週間行い,以後リストサポーター固定とした.受傷後6週まで疼痛・可動域の改善を認めていたが,7週目より尺側部痛と可動域制限が出現した.さらに保存的加療を1ヶ月行うも改善なく,MRIにてTFCC disc proper損傷,尺骨突き上げ症候群の診断にて,鏡視下TFCCデブリードマンと尺骨短縮骨切り術を施行.術後に疼痛,可動域の改善を認め,術後2年時のMayo wrist scoreは90点(Excellent)で,疼痛や可動域制限なく経過良好である.【考察とまとめ】手三角骨骨折は手関節捻挫の重要なサインであり,TFCCなどの合併損傷に注意が必要である.

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© 2016 西日本整形・災害外科学会
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