整形外科と災害外科
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全指CM関節脱臼の1例
尾上 英俊中村 厚彦廣田 高志河野 大大里 恭平柴田 光史
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2016 年 65 巻 2 号 p. 289-291

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抄録

非常に希な全指CM関節脱臼の1例を経験したので報告する.症例:30歳 男性,バイク走行中に軽自動車に衝突し受傷した.単純レントゲンと3DCTより左全指CM関節脱臼と診断した.第1 CM関節は掌側脱臼,第2-5 CM関節は分散脱臼であり第2, 3 CM関節は背側脱臼,第4, 5 CM関節は橈側脱臼であった.受傷3日目に全身麻酔下に観血的整復を行った.整復の順番は可動性をほとんど認めない第2, 3 CM関節をまず整復し,これをメルクマールとして第4 CM関節,第5 CM関節の順に整復することで正確な解剖学的な整復が出来た.受傷機転はハンドルを中心として非常に強い回旋力が働き,第1 CM関節では第1中手骨を掌側に,第2, 3 CM関節では第2,3中手骨を一塊として背側に脱臼させ,さらに中手骨基部を連結している中手骨骨間靭帯により第4, 5 CM関節では第4,5中手骨基部が橈側へ引っ張られて脱臼を生じたのではないかと考えた.

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© 2016 西日本整形・災害外科学会
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