整形外科と災害外科
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人工股関節置換術後感染の診断にMRIが有用であった一例
小倉 友介吉光 一浩樋口 冨士男瓜生 拓也大川 孝浩後藤 昌史光井 康博野口 幸志田渕 幸祐伊藤 弘雅蒲地 康人志波 直人
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2016 年 65 巻 4 号 p. 621-625

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抄録

近年MRIの技術が進み金属インプラント周囲組織も明瞭に描出されるようになった.今回MRIにより診断し得た人工股関節感染を経験したので報告する.症例は81歳女性.主訴は頭痛と左股関節痛.前医より炎症反応高値にて精査目的に紹介受診となった.26年前に右人工股関節全置換術を受けていた.初診時検血にて白血球9500/μl,CRP 23.34 mg/dlと高値を認めた.単純X線で右人工股関節は臼蓋コンポーネントのポリエチレンの著明な摩耗があり,左股関節は末期の変形性股関節症であった.全身造影CT施行するも明らかな炎症を示唆する所見を認ず,熱発も37度程度であった.股関節のMRIを行ったところ右人工股関節周囲に膿瘍を認めたため,関節穿刺を行い黄色ブドウ球菌が検出された.人工股関節感染の診断にて人工股関節抜去術を施行した.本症例は右股関節に関する自覚症状がなく診断に難渋したがMRIにより右人工股関節感染を診断し得た.

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© 2016 西日本整形・災害外科学会
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