2016 年 65 巻 4 号 p. 796-798
小児頚椎椎間板石灰化症は頚部の激しい疼痛と可動域制限をきたすが,ほとんどが保存的治療で治癒し予後は良好な疾患とされている.また本邦でのこれまでの報告は70例程度と比較的稀な疾患である.今回我々は本症の1例を経験したので報告する.6歳女児,1週間前に感冒様症状があったが,発熱なく数日で自然軽快した.特に誘因なく2日前に頚部痛が出現,疼痛は徐々に増強し,就眠できず当院救急外来を受診した.初診時発熱なく活気良好であったが,右斜頚位で固定され,右頚部前方に圧痛を認めた.頚椎単純X線像でC4/5椎間前方に石灰化像を,血液検査ではCRP 0.88 mg/dl,血沈(1 hr)41 mm/hと軽度の炎症反応の上昇を認め,小児頚椎椎間板石灰化症と診断した.頚椎カラー装着とアセトアミノフェン内服を開始,翌日には疼痛は著明に改善,頚部の可動域制限と圧痛は消失した.以後再発はなく,その後の単純X線像で石灰化は消退傾向を認め,初診後8カ月で完全に消失した.