整形外科と災害外科
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骨折手術における深部SSI発生率とリスク因子の解析
城下 卓也本多 一宏岡村 直樹林田 洋一岡野 博史井本 光次郎石松 憲明細川 浩岡田 二郎宮本 和彦佐久間 克彦中島 伸一
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2017 年 66 巻 1 号 p. 10-12

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抄録

【背景】整形外科手術における手術部位感染(surgical site infection; SSI)の発生率は,手術方法や部位別には報告されているが,骨折手術全般のSSI発生率を検討した報告は限られている.【対象と方法】当院で2010年1月から2015年8月に手術を行った脊椎外傷,人工関節手術以外の骨折手術症例を抽出し,深部SSI発生率とリスク因子の検討を行った.深部SSIの定義はCDCのガイドラインを使用し,追跡期間が90日未満の症例は除外した.また,主要評価項目を深部SSI発生率として,リスク因子の多変量ロジスティック解析を行った.【結果】深部SSI発生率は1.49%,うち閉鎖性骨折1.03%,開放骨折5.44%であった.また,多変量ロジスティック解析を行い,開放骨折(OR4.45)と下肢・骨盤手術(OR20.91)が統計学的に有意なリスク因子となった.手術部位別では下肢のSSI発生率が高く,上肢と比較して下肢各部位のSSI発生リスクが有意に高かった.一般的にリスク因子とされている糖尿病,喫煙歴,高齢者については,本研究ではリスク因子として抽出されなかった.

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© 2017 西日本整形・災害外科学会
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