整形外科と災害外科
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診断に難渋した手に発生した平滑筋肉腫の1例
宮田 倫明富田 雅人野村 賢太郎尾﨑 誠
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2017 年 66 巻 1 号 p. 175-178

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抄録

【はじめに】診断および治療に難渋した手に発生した平滑筋肉腫の1例を経験したので報告する.【症例】症例は30歳の女性である.右母指球部の30×16mm大の腫瘤にて当科を受診した.切開生検の結果は結節性筋膜炎であった.外来で経過をみていたが増大傾向あり,6週間後に辺縁切除術を行った.病理は結節性筋膜炎の診断だった.しかし3ヵ月後に局所再発,肺転移もみられた.経過を病理部に報告したところ線維肉腫に病名が変更された.アドリアマイシン+イホスファミドによる化学療法(AI療法)2クール後に前腕切断術を行った.病理は平滑筋肉腫grade3であった.AI療法の効果は乏しかったためゲムシタビン+ドセタキセルによる化学療法(GD療法)に変更し,肺転移に対しては切除術を行った.その後,右眼窩に転移し放射線治療を行ったが,経過中に肺転移が急速に悪化.初診から1年2ヵ月で永眠された.本症例について若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2017 西日本整形・災害外科学会
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