2017 年 66 巻 1 号 p. 186-188
【要旨】骨接合後の深部感染に対して骨髄針を病巣に留置して高濃度抗菌薬を投与するintra-medullary perfusion(iMAP)を行ったのでその治療成績を検討した.2000~2015年に骨折の骨接合術後に発生した深部感染に,iMAPを行った24例を対象とした.感染の発症後,病巣掻爬を行い,内固定材は出来る限り温存し,骨髄針を感染巣近傍に留置し,そこからアミノグリコシド系抗菌薬を持続投与した.抗菌薬の経静脈投与は併用した.深部感染の発生は術後平均178日(3例を除いて6週間以内)であった.iMAP留置期間は平均17日であった.24例中21例は内固定材を温存して感染を沈静化できた.24例中,4例に再燃をみとめたが,いずれもiMAPで感染を沈静化できた.iMAPは新たなdrug delivery systemとして,局所に高濃度の抗菌薬を分布できる利点があり,骨接合術後感染の治療の選択肢として有用である.