整形外科と災害外科
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術中MEP波形の消失を繰り返した胸椎後縦靱帯骨化症の1例
畠 邦晃相良 孝昭渡邉 弘之竹村 健一上川 将史永田 武大酒本 高志
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2017 年 66 巻 1 号 p. 76-79

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抄録

術中MEP波形の消失を繰り返した胸椎OPLL症例を経験したので報告する.症例:57歳男性,歩行障害,臍部以下のしびれ.55歳時に頚椎OPLL手術施行し経過良好であったが,術後1年頃よりふらつき自覚し術後1年6ヶ月には歩行困難,排尿障害出現.T9-10胸椎OLF手術施行し下肢筋力,排尿障害に改善認めたが痙性麻痺残存.6ヵ月後胸椎OPLL手術を計画.T6/7嘴状,T4/5,5/6平坦の形態でT3-10後方固定しT6-7椎弓切除施行.術中にスクリューを1本設置するたびにMEP波形全消失.約15分待つと波形出現し徐々に回復.クロスリンク設置時や仰臥位への体位変換時も消失し,最終波形振幅は30%であった.幸いにして術後麻痺は無くJOA改善率57%で独歩可能となった.考察:MEPは反応が鋭敏で微細な刺激でも低下する.術中操作に伴う僅かな脊髄のたわみなどが影響したのではないかと推察する.

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© 2017 西日本整形・災害外科学会
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