整形外科と災害外科
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皮膚穿孔した開放性大腿骨介護骨折に対しセメントキャップ療法を行った2症例
吉田 周平田丸 満智子福田 文雄
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2017 年 66 巻 2 号 p. 299-302

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抄録

[目的]皮膚穿孔した開放性大腿骨介護骨折に対しspike状の骨折部を切除し断端を抗生剤含有セメントで被覆するセメントキャップ療法を行い,骨折前の介護を継続できた2症例を報告する.[症例1]94歳女性.10年間寝たきりでありオムツ交換時に大腿骨骨幹部骨折を受傷した.装具による保存療法中に骨折部の皮膚穿孔を認め,セメントキャップ療法を行い骨折前と同様の介護が可能となった.[症例2]90歳女性.ADLは車椅子であり車椅子移乗中に左大腿骨遠位部骨折を受傷した.装具による保存療法中に骨折部が皮膚を穿孔し,セメントキャップ療法を行い骨折前と同様の介護が可能となった.[考察]セメントキャップ療法は再穿孔の危険性を低減できること,感染に対応可能であること,骨切除のみの場合よりも骨折部の軟部縫縮・セメント補填により骨折部を安定化できることから,開放性大腿骨介護骨折に適応があると考えられた.

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© 2017 西日本整形・災害外科学会
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