整形外科と災害外科
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複数のアプローチを用いて骨接合術を施行した両側不安定型骨盤輪骨折の一例
筒井 知明塚本 伸章前 隆男佛坂 俊輔加藤 剛小宮 紀宏屋良 卓郎伊東 良広中山 恵介福田 宣義
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2017 年 66 巻 3 号 p. 491-494

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抄録

両側不安定型骨盤輪骨折に対して複数のアプローチを用いて骨接合術を施行した症例を経験したので報告する.症例は64歳男性.農作業車と鉄製のポールに挟まれて受傷.前医CTで左仙骨骨折,右仙腸関節脱臼骨折,恥骨結合離開,右恥骨骨折など両側不安定型骨盤骨折を認めた.救命処置後,第5病日に内固定目的に当院に転院となった.第11病日に左仙骨骨折に対して後方アプローチによるspinopelvic fixation,右仙腸関節脱臼にはpararectus approachを用いた仙腸関節プレートによる固定,右恥骨骨折にはcannulated compression screwによる内固定を施行した.さらに第27病日に残存する恥骨結合離開に対してPfannenstiel approachを用いて恥骨結合プレートによる内固定を行った.右下肢は最終手術より4週後,左下肢は6週後より部分荷重を開始し術後7ヶ月時点で杖歩行が可能となった.骨盤輪骨折の内固定には様々な手法があり,症例に適した術式の選択には内固定のタイミングや方法も併せて綿密な術前計画が必要になると認識させられた.

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© 2017 西日本整形・災害外科学会
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