【症例】34歳男性.2ヶ月前より右膝痛が出現し,近医を受診しMRIにて膝関節内に腫瘤性病変を指摘され当科を紹介となった.右膝には腫脹と膝蓋跳動を認め,穿刺にて関節血症が見られた.MRIでは関節内と膝蓋腱内の2つに病変があり両者は近接し,関節内病変は径3.5cm×2.5cmで膝蓋骨内側に位置し,膝蓋腱内病変は径8mm×8mmで膝蓋腱内に存在した.両者ともT1WI,T2WIで低信号を呈し造影効果が見られ,膝蓋腱内浸潤を伴った限局型腱滑膜巨細胞腫と診断した.手術では内側傍膝蓋アプローチで進入し,関節内病変は黄褐色で膝蓋骨内側の滑膜に付着し膝蓋骨下極では一部骨内に浸潤していた.膝蓋腱内病変は白色で関節内病変とは連続していなかった.術後病理では関節内病変は限局性腱滑膜巨細胞腫,膝蓋腱内病変は痛風結節の診断であった.【考察】膝蓋腱内病変は関節内病変と近接しており信号パターンも類似していた為に術前に痛風結節と診断することは困難であった.我々が渉猟しえた限り,痛風結節と限局性腱滑膜巨細胞腫が合併した報告はなかった.