2017 年 66 巻 3 号 p. 582-584
腱板断裂に対する腱板修復術では,直視下・鏡視下に関わらず,欠損部を生じる修復困難な症例をしばしば経験する.そのような症例では上腕二頭筋長頭腱(LHB)は変性肥大し,腱固定術あるいは腱切離術を併用することが多い.このような症例に対し,当科ではLHBを上方関節唇で切離し欠損部に有茎パッチとして移行してきた.その治療成績について検討を行ったので報告する.対象はLHBを有茎パッチとして腱板修復術を施行した4例4肩(男性2例,女性2例),手術時平均年齢67.8歳である.術前,術後3ヶ月・6ヶ月・1年時にJOAスコアを用いて臨床的評価を行った.平均JOAスコアは,術前65.0点であり,術後3ヶ月時72.9点,術後6ヶ月時93.8点,術後1年時95.5点であった.腱板修復の際生じた欠損部に対し,LHBを有茎パッチとして用いる本法は有用であった.